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「あぁ、真っ赤だな……。」
目の前に沢山散らばった《それ》を遠い目で眺める。
この時代に似合わない、蛍光灯の明かりが《それ》と俺を煌々と照らす。
風の音のみが聞こえ、古い窓がカタカタ揺れ動く。
今日は肌寒いなぁ、と部屋にひとり立ち尽くす。
時刻は22時21分。
素数だな、なんて阿呆なことを考える余裕はまたあるみたいだ。
「皆、終わったな……これで。」
成し遂げた喜びより、圧倒的な疲労感が俺を襲う。
これは誰かに手伝ってもらう訳にはいかない。
俺の《仕事》なのだから。
俺だってこんなことしたくなかった。
欠点ばかりのアイツらが悪い。
最初はむしろ応援したいくらいだった。
でも、無理だったんだ。
様々な想いが、頭を巡る。
俺は悪くない。そうだ、これは俺なりの愛だ。
また、いっそう強く言い聞かせた。
だってよく考えてみろ。
俺は事前に忠告もした。
こうなるだろう、とヒントも与えた。
そうだそうだ、こうなるには充分だったのだ。
そう言って、うすら汚い木目の床を眺める。
「あ、服に付いてるわ。最悪……。」
下を向くと同時に、Yシャツに微かに赤い斑点ができていることに気づいた。
あぁ、今日に限って白いシャツを選んだのが間違いだったな。
ウザイな……。
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