きみが紡ぐ物語

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「一緒に行こう」 本当はそう言いたいけれど、一緒に行けないことはわかっています。 「大丈夫だよ」 ラクダは男の子の頭をなでながら伝えます。  ラクダの役割はこの星で男の子を見守り寄り添い、そして送り出すことです。 「きみならこの暗くて細い道も一人で通ることができるよ。この道の先にはね、とても明るい輝かしい世界が待っているんだよ」 「でも、一人なんてやっぱり不安だよ」 男の子は首をふります。地面のゆれがさらに激しくなり男の子はあちこち身体をぶつけます。 「一人じゃないよ。この星で聞こえていた優しい子守歌に出会えるよ。やわらかい地面はないけれど、やわらかい腕がきみを抱きしめてくれる。おなかがすく時もあるけれど、あたたい優しさがきみのおなかを満たしてくれる」 細い道の向こうの扉が開いてきました。今までみたことがないまぶしい光がさしこんできます。 「ぼくが行ってしまうと、きみはどうするの?寂しくないの?ぼくたちもう会えないの?」 地面の揺れが続くように、男の子の不安も次から次へと連なっています。 「きみが行ってしまっても、ぼくたちが過ごした時間はずっと消えはしないから、寂しくはないよ。それに姿は見えなくても、きみの中にもぼくとの思い出が、ほら、たくさんつまっている。寂しくなったら思い出してごらん。」 地面がくずれ、男の子とラクダは引き離されます。
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