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フィアは、短い時間で次々と少女に質問を投げかけた。
そのどれもが簡単な質問ばかりで、しかも少女の生活に関する個人的な質問は一つもなかった。引っ越してきて、初めて学校に行った日。
――どこから来たの?
――どうして引っ越してきたの?
――お兄さん病気なの?
――なんで髪の毛赤いの?
そんな、クラスの皆が口々に尋ねてきたようなことを、フィアは決して訊かなかった。
その代わり、知ってもどうにもならないような、取り留めのないことばかり訊いてくるのだ。
「ねえ、スウプって知ってる?」
たとえば、こんな調子である。
――寒い日や風邪を引いたときなんかに食べるって話、本当?
――そのスウプってどんな匂いで、どんな味がする?
――温かい食べ物って、どんな感じ?
――晴れた日の水面は確かに温かいけど、あれと同じ味なら、別に食べたいとは思わないかなあ……
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