1人が本棚に入れています
本棚に追加
シャドウ
物心ついた頃から、僕には《もう一人の僕》が居た。
煤のように真っ黒で、姿、仕草までも僕にそっくりなヤツだった。
《もう一人の僕》の呼び名は、そうだなぁ、
《シャドウ》とでも呼ぼう。
《シャドウ》は何時も僕の後ろについて回った。あまり害は無さそうで放っていたが、ひとつ問題があった。
其れは、夜になり真っ暗闇になると、勝手に動き出すこと。
部屋を動き回ったり、お菓子を漁ったり、僕で遊んだり、他 etc.
お陰で朝が眠くて、疲労が溜まっていった。
一週間がたった頃。
僕は遂に堪忍袋の緒が切れた。
何度か枕を投げたり、腕相撲で勝負したけど、《シャドウ》には喧嘩では勝てなかった。
だから
「《シャドウ》!僕とチェスで勝負しろ!」
頭脳戦で勝ってやる!
そう思った僕は、得意なチェスで勝負を持ちかけた。
だが
「もう一度!」
「もう一度!」…
何回やっても、ただの一度も勝てなかった。
《シャドウ》は、ニヤニヤと笑って否、口など見えないのだが、ふにゃふにゃと勝利の舞を踊っていた。
ここまで来ると最早意地になって、僕はこの《シャドウ》を倒すことを目標に日々を過ごすことにした。
最初のコメントを投稿しよう!