しりとり

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しりとり

ある時は、しりとりで勝負をしようとした。 そしたら、《シャドウ》はスケッチブックをとってきて、鉛筆で書き始めた。 〔しりとり〕 ペラリと次ページをめくって書き始める。 〔リンドウ〕 まさかの花の名前!? 普通はリンゴだろ!と思わず突っ込みそうになるも耐える、耐えろ僕。 此処で笑ったり声を荒げたら、負ける気がする。変な意地を張りつつ考える。 「売掛金勘定!」 普通の、か弱い子供らしからぬ言葉だが、負けるよりかはマシだ。 《シャドウ》はまたサラサラと書いていく。 〔運動方程式〕 何だ其れは。 チラリと《シャドウ》を見ると、「知らないのか?」とでも言いたげな様子。 「ああ、運動方程式ね。其れくらい知ってるよ、常識だよね」 本当に知ってるのかとでも言いたげな視線が痛くて、目を逸らす。 「え、えっと。教育心理学!」 いつの間にか《シャドウ》はタイマーを持ってきて、30秒のカウントダウンを始める。 慌てて答えると、リセットしてまたスタートさせる。 〔ききょう〕 また花の名前!? う、う、う… なんとなく負けたくなくて長くてカッコいい言葉を探す。 「運用報告書!」 残り数秒で思い付いた言葉を叫ぶ。 すると、「健太!もう夜なんだから早く寝なさい!!」と部屋に入ってきた母に叱られた。 布団に入るまで見てくる母に、仕方なく今日は諦めようとため息をついた。
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