シャドウ

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シャドウ

物心ついた頃から、僕には《もう一人の僕》が居た。 煤のように真っ黒で、姿、仕草までも僕にそっくりなヤツだった。 《もう一人の僕》の呼び名は、そうだなぁ、 《シャドウ》とでも呼ぼう。 《シャドウ》は何時も僕の後ろについて回った。あまり害は無さそうで放っていたが、ひとつ問題があった。 其れは、夜になり真っ暗闇になると、勝手に動き出すこと。 部屋を動き回ったり、お菓子を漁ったり、僕で遊んだり、他 etc. お陰で朝が眠くて、疲労が溜まっていった。 一週間がたった頃。 僕は遂に堪忍袋の緒が切れた。 何度か枕を投げたり、腕相撲で勝負したけど、《シャドウ》には喧嘩では勝てなかった。 だから 「《シャドウ》!僕とチェスで勝負しろ!」 頭脳戦で勝ってやる! そう思った僕は、得意なチェスで勝負を持ちかけた。 だが 「もう一度!」 「もう一度!」… 何回やっても、ただの一度も勝てなかった。 《シャドウ》は、ニヤニヤと笑って否、口など見えないのだが、ふにゃふにゃと勝利の舞を踊っていた。 ここまで来ると最早意地になって、僕はこの《シャドウ》を倒すことを目標に日々を過ごすことにした。
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