4/8
前へ
/8ページ
次へ
 次の朝、目覚めるや否や、昨日のことを思い出して憂鬱になる。  キッチンへ行くと、母が朝食を作っている。父はすでに仕事へ出ていた。  フライパンがベーコンを焼く音に耳を澄ませる。油の弾ける音に集中すると、少しだけ心が安らいだ。 「お父さん、落ち込んでたわよ」  母が言う。私は黙っている。少しくらい、落ち込んだ方がいいんだ。 「お父さんね、鶏の育て方、インターネットでずっと調べてたのよ」  それが何だ。私には関係ない。  黙々と朝食を食べ、私は学校へ向かった。父のせいで通うことになった、田舎の学校へ。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加