君の心臓はまるで洗濯機

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 静かな場所を見つけた。  学校を出てすぐの住宅街に少し入ったところにコインランドリーがあった。  そこはドラム式の洗濯機が数個あるだけで、今は誰も使っていないと感じさせる場所だった。  「青春」が終わったおれとっては丁度いい居場所だった。    おれは立て付けの悪い横開きのドアを開け中に入る。中には丁寧に机と椅子が置かれており、洗濯物を待つわけでもないおれはゆっくりと腰を下ろす。  丁度その時、遠くからブザーの音が聞こえた。  バスケ部の練習が始まったのだろう。  親には「部活に顔出して雑用係をやっている」と言ってしまったため、今日からここで最終下校のチャイムを聞くまで時間を潰そう。  ブザーが聞こえるたびに罪悪感が胸を刺す。俺はカバンから退部届けの紙を出すと、とりあえず名前だけ記入した。  
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