友人Fの本懐9 - 死者の住む家 -

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隣の老人も居間に入って来て、一緒にお茶を飲んでいた。 Fは目を閉じて少し眠っている様だった。 「いや、何か不思議やな…。高校生が立派なお経あげよるなんて…」 と隣の老人は笑っていた。 「お母さんの手から出て来た遺物って、ヘアピンの欠片やろ…」 Fが目を開くと突然そう言った。 彼女と彼女の母親は顔を見合わせて驚いていた。 「何か鉄の破片って聞きました」 と彼女の母親は言う。 Fは頷くと、 「お婆さんの手の甲にヘアピンで刺した痕がようさんあったんよ…」 そう言う。 「そうやって辛さを耐えてたんかな…」 その言葉に誰も何も言えず、ただ黙ってお茶を飲んでいた。 「僕、知ってる…」
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