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隣の老人も居間に入って来て、一緒にお茶を飲んでいた。
Fは目を閉じて少し眠っている様だった。
「いや、何か不思議やな…。高校生が立派なお経あげよるなんて…」
と隣の老人は笑っていた。
「お母さんの手から出て来た遺物って、ヘアピンの欠片やろ…」
Fが目を開くと突然そう言った。
彼女と彼女の母親は顔を見合わせて驚いていた。
「何か鉄の破片って聞きました」
と彼女の母親は言う。
Fは頷くと、
「お婆さんの手の甲にヘアピンで刺した痕がようさんあったんよ…」
そう言う。
「そうやって辛さを耐えてたんかな…」
その言葉に誰も何も言えず、ただ黙ってお茶を飲んでいた。
「僕、知ってる…」
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