静謐な彼女の頭の中の金の針

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 僕は黙って机に突っ伏して、黙っている彼女の声に耳を傾ける。  それは、宿題のことだとか、友達との約束のことだとか、体調のことだとか、そんな他愛無い内容なのだけれど。  叶さんという鉱物の中で、しんと静かで、冷たくて、揺らいで、消える。雑味の無い一つ一つの言葉に、没頭する。  隣の席になった時からずっと思っていた。僕は、この声の中に身を投げたい。
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