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頭の中が静かな叶さんは、痛みまで静かなのだな。
少し感動しながら、僕は、叶さんに僕のような特異な性質がなくて良かったと、安堵の溜め息をつく。
他人の頭の中を勝手に聞いておきながら、僕は自分の音を、聞かれたくなかった。
だって、先生の幸福を暴露した自分から、どんな音がしていたか、知っているから。
叶さんの澄んだ思いが壊れるのを喜んで、どんな醜い歓呼と喝采を上げていたか、知っているから。
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