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島の入口には、大きな看板があり、そこにはこう書かれていた。
「ようこそ、詐欺師ばかりのワンダーランド、『テーマパーク詐欺島』へ」
『テーマパーク詐欺島』
そこは、とある離島に誕生した、奇怪なテーマパークである。
創設者、元詐欺師。スタッフ、元詐欺師。
スタッフは来場者にありとあらゆる詐欺を働き、来場者はあらゆる詐欺から身を守る術を学ぶことができるテーマパークだ。
最初は、子供達に詐欺への注意喚起を促すため、社会見学の場として売り込んでいたが、「詐欺師たちに我が子の顔を覚えられるのは嫌」「子供が詐欺の手口を学んで詐欺師になったら困る」という反対意見が続出し、子供の来場は禁止となった。
しかし、心霊スポットに積極的に行きたがる人間がいるように、危険な場所というのは一定の需要があった。『テーマパーク詐欺島』は、知る人ぞ知る観光スポットとして、運営を続けていた。
私は、今日ここに客として来場した。
やってきた理由は、まあ後で説明する。
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