1人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
それから幾日か経ち、頭のてっぺんの方に違和感を覚えた。どうやら破水したようだ。
いよいよ、産まれるのか……。
始まるんだ。俺の、新たな人生が。
次こそはまともに生きてみせる。絶対に母を悲しませたりしない。心と体を入れ換え、えーと、しん……なんだっけ、しん、き？ ともかくしんきなんちゃらがんばろう。
「うああ゛ああぁあ゛ああぁああっつつ！！」
母の絶叫が大きくなっていく。もうすぐだ。もうじき出られる…………。
……あれ？ ここから出て、なにすんだっけ？ 俺……俺はたしか、えーと……。
おれ？ おれって、だれだ？ おれ？ わたし？ ぼく？ ぼくのなまえ、おなまえ、えーと、なんだっけ？ あれ？ ぼく、なにも、わかんなーー
「おめでとうございます。元気な男の子ですよ」
最初のコメントを投稿しよう！