Rちゃんへ

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Rちゃんへ

 アダルトサイトで新作AVをチェックする。でも、私の女神は載っていない。  画面を凝視しつつも、目の前は真っ暗だ。女神のことだけをじっと考える。  ――Rちゃん。  Rちゃん作品のリリースがストップしてから、早一年になる。所属事務所のウェブサイトからも名前が消えた。  二十八という彼女の年齢を考えれば、引退を決断してもおかしくはない。でも、それが正式に表明されたわけではない。  さよならも言わず、幻のように姿を消した。それは、私達にずっと夢を見ていてほしいから?  マイページにアクセスした。ずらりと並んだパケに胸を締め付けられる。 『Rちゃんは幸せいっぱいの笑顔より、物憂げな役の方が輝くよね』  そう悦んでいた去年の私は、ものすごく幸せな顔をしていたことだろう。 「Rちゃん……っ」  ――嘘だよ! 私、Rちゃんには誰よりも幸せな笑顔でいてほしいよ。  今、幸せになる準備をしているんだよね? そうだよね、Rちゃん……。 260b4725-2466-4b9f-b96a-4fdfbf9bd912
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