粛々と

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森の入り口で  密かに待機していたフクロウは 走って戻る 俺を迎えて 「どうした?  何か わかったのか?」 と 聞いた 「ヤバい 奴らは  森に住む オオカミたちを  いや もしかすると  森に住む 動物たちを  皆殺しにしようとしている  あのテントから漏れる光が  赤いのは   血の色だ  血塗られたテントの中には  血塗られた服を着た人間がいて  腹を掻っ捌かれて   内臓も骨も抜かれ皮だけにされた  オオカミの亡き骸が  これ見よがしに(さら)されていた  どうやら人間は  かつて オオカミに襲われて  亡くなった仲間の仕返しを企んでいる  あの 血塗られたテントは  森の動物たちを おびき寄せる  巧妙な ワナだ  決して近づいてはならぬ  それどころじゃない  人間が 森に入って来ても  決して 我々は  姿を見られてはならぬ  殺される!  腹を掻っ捌かれて   臓物を抉り取られ  骨を抜かれて・・・   」 そこまで 話した時 あの血塗られた頭巾を被った人間が テントの中から  ボロボロの 皮だけにされた  茶色オオカミの亡き骸を持って 走り出て来て 叫んだ 「銀色オオカミさん  これ 持って行って って  言ったでしょう! 」 血塗られた頭巾の人間は 茶色オオカミの亡き骸を 俺に向かって投げつけた けれども 皮だけにされた亡き骸は 軽く ヒラヒラしていて 森の入り口の草わらの中に バサリ と 悲しく落ちた 俺は 気色悪くなって 一目散に森の奥へ向かって 走った 木陰で隠れ見ていた フクロウは 音をたてないように ふわり と 夜空高く 舞い上がった  
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