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その話を聞いていた 牡鹿のリーダーは
一歩 前に進み出て こう言った
「銀色オオカミ と 俺様の
どちらが森の王に 相応しいか
決闘で決めようではないか!」
するとまた 大きくて獰猛なヒグマが
一歩 前に進み出て こう言った
「たかが 鹿の分際で 森の王とは
ふざけてやがる!
それなら まず
この俺様を倒してみろ! 」
俺は 彼らの様子を
黙って 観察しながら
心の中で 繰り返した
静けさの中で 冷静沈着に
思考し 判断し 行動する
それこそが 森の王として
あるべき姿 相応しい態度
牡鹿は ヒグマに対し
大きな角を 構え
前脚で 土を蹴り
敵対心を露わにしている
ヒグマは グオオオォ~
と 唸りながら
鋭い牙を剝き出し
牡鹿に飛びかかろうとした
その時
フクロウは 大きく翼を広げ
彼らの間に入って 言った
「静粛に!
森の王として
一番 大切な役目は
森の仲間の命を守ることじゃ
森に 危険が迫った時
そなた達の中で
誰が もっとも素早く
森の仲間に危険を知らしめ
もっとも的確に
森の仲間の命を守れるか
その結果をもって
森の王者を決めなければならぬ
恐らく 近いうち
人間が 鉄砲やナイフを持って
この森にやってくる
その時 いち早く 森の仲間に
危険を知らしめ
森の仲間の命を守ったものを
この森の王に決めようではないか
いかがかな? 皆の衆! 」
森の仲間たちは フクロウの提案に
心から 納得し 賛同の声を上げた
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