粛々と

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フクロウの言う通り 俺は 父の後を継ぎ 間もなく 森の王になる運命を背負っている 父は 年老いて 目が 見えにくくなっている 魂だけは  森の王としての威厳を保っているが 筋力も かなり衰えている 牡鹿のリーダーや ヒグマのボスは 隙あらば 森の王者の地位を 奪い取ろうと 四六時中 父や俺の命を狙っている だが 森の多くの動物たちは 父を 慕っている 父は 非常に 思慮深く 万物への慈愛に 満ち溢れ 知恵も力も勇気もある 森の王者に相応しい魂の持ち主だ 森の動物たちは ただ 単に 俺が父の息子だから という理由で  俺が 父の後継者になるべきだと 何の疑いもなく 信じている しかし 俺は 不安なのだ 果たして 俺に 森の王になる 力があるだろうか 臆病なくせに 弱いものが理不尽に苦しめられるのを 黙って見ちゃいられず 無鉄砲に走り出しては フクロウに止められてばかり 父は 俺の教育係として 森で 一番 の知恵者である フクロウを選んだ フクロウは  俺のそばを 片時も離れず 俺の行動を監視し 教育してくれる フクロウの指示は 常に的確で フクロウさえいれば  俺は安心していられる のだが まだ 自分の判断力に 自信がない まだ 独り立ちして 森の平和を守る知恵も力も足りない
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