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石のように固まった体と
石のように動かない状況は
延々と続いていた
俺も 人間も ピクリともせず
静けさの中で 夜は更けていく
冷気は テントの中まで
ヒタヒタと 忍び込み
寒さ と 恐怖に 包まれた俺は
いつの間にか プルプル
小刻みに 震えていた
見ると 目の前にいる
血塗られた頭巾を被った人間は
ガクガク 震えている
寒いのか? 怖いのか?
どうやら人間も
この状況に 怯えているらしい
しかし
奥にいる
ふざけた顔の オオカミはどうだ!
まったく 震えることもなく
堂々と 微笑みさえたたえて
俺を 見下ろしているではないか!
なかなかのツワモノだ
手強い・・・
油断はできぬ
いつ相手が 飛びかかって来ても
即座に応戦できるよう
静けさの中で 冷静沈着に
俺は 密かに作戦を練った
あの落ち着きから想像すると
相手は かなりのやり手だ
目の前に 居ながらにして
まるで気配を感じさせない
気を抜くと
そこに居ることすら
忘れてしまうほどに
完璧に己の気配を消している
微動だにしない 奴の
完璧な集中力は
敵ながら あっぱれ!!
と 心の底で 感心する
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