3. 娘の恋人

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3. 娘の恋人

 娘はすくすく成長し、高校生になった。進路を考える年齢だ。娘は海外の大学への進学を希望した。  可愛い一人娘を海外に出すのは心配だ。  しかし、狭い日本で、桃太郎一族だ、鬼の家系だと、面倒臭いしがらみに縛られるのは可哀想だと夫婦で話し合った。  広い世界を見ておいでと留学を許し、娘はアメリカの大学へ進学、そのまま現地で就職した。  ある日、娘から、「クリスマス休暇に会わせたい人がいるから一緒に帰るね」と連絡が来た。  いよいよか……。僕は覚悟を決めた。  何度か娘のところに夫婦で遊びに行ったが、大学時代に知り合って付き合っているフランス人の彼がいることを、妻は娘からこっそり聞いていた。  娘ももう二十代後半。そろそろ結婚してもおかしくはない。 「寂しくない?」  妻に聞かれる。 「そりゃ、寂しい気持ちもあるが、かえって外国の人でよかったんじゃないか? 今度は浦島太郎の血筋だとか、かぐや姫の血筋だとか告白されるよりさ」と、僕は答える。 「確かに、そうね」と、妻は笑う。  いよいよ、娘の帰国の日。僕達は我が家でどきどきしながら娘と彼の到着を待っていた。 「ただいま」  玄関が開き、待ちに待った娘の声がした。 「おかえり!」 「お疲れ様!」  夫婦で玄関に迎えに出たが、娘一人しかいなかった。 「あれ? 一人なのか?」 「うん」 「彼は?」 「先に私から話しておいた方がいいかなって思って。彼はホテルで待ってる」 「そうなの。何よ?」  相変わらずせっかちな妻が聞く。
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