二章:気づき

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 月明かりが照らす病室の中。  二度目の見舞いに来た沙月は、前回とは打って変わって、すっかり落ち着いていた。  もうずいぶん長い間、ここにいる。しかし、昂輝の容態がずいぶんいいこともあって、看護師も沙月を帰らせようとはしなかった。  もちろん、それ以外の配慮もあったのだろうが。 「ねえ、昂輝──」  入院着の裾を掴み、沙月は上目遣いで尋ねてきた。 「私のこと、嫌い?」 「・・・・・・そんなことはない、ですよ。僕にとっては、今初めてあった初対面の人のような感覚ですが。一緒にいたら楽しそうだとは思います」  それを聞いた途端、彼女は顔を上げ、心底嬉しそうに笑った。笑顔が眩しい、そう感じた。 「じゃあ、まずはお友達から?」 「そうですね。そのほうが、僕もラクです」  こうして、昂輝は、忘れてしまった彼女の手を再びとった。  かつて、自分の恋人だったという沙月の手を。  ──自分を殺そうとしている、彼女のことを。    
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