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眩しすぎるほどの白が、瞼を開いた瞬間、女の眼球を突き刺した。
身体を起こすと、そこにはただ真っ白な部屋が広がっているだけだった。
異様な状況であることはすぐに分かった。咄嗟に助けを呼ぼうと喉に力を入れる。途端、激痛が走った。
喉が潰れているようだった。気を失う以前に、大声を出していたのだろうか。
そう考えた時に、女はぞっと悪寒を走らせた。
この部屋に入れられる前の記憶がない。それどころか、自分がどこの誰で、これまでどんな人生を歩んで来たかも分からない。
女は喉が痛むのも承知で、泣き叫んだ。だがその声は呻き声にすらならず、口から溢れた空気は、静けさの中を泳ぐだけだった。
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