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外では花火が上がっていた。 ドン、ドン、と心臓を叩いてくる深い音。 電気すら付けていない暗がりのなか、エアコンの風が当たりすぎていないかと不安はあるが、リモコンは遠い。 花火がひとつひとつ上がるたびにベッドがきしんで、俺は彼女の長い黒髪をそっと退かす。 「あのまま俺が来なかったら、ついて行ってたでしょ」 「…はい」 「完全に襲われてましたよ」 「…もうそれでいいって…思ったから、」 「ふざけんな」 相手は1人だけじゃなかった、3人はいた。 どんな乱暴をされていたか分からない。 今よりずっとずっとひどいことをされていたかもしれない。 あなたは目立たないようで目立ちすぎるのだから。 「綺麗だ」 見下ろしてつぶやいた俺に、彼女は涙を流して首を横に振る。 「みないで、みないで」と繰り返して。 「きれいじゃ、ない」 「…どこが綺麗じゃない?」 「……ぜん…ぶ」 こんなやり方であっていただろうか、間違ってはいないだろうか。 言葉では「優しくできない」などと言ったが、まるで初めてを経験した日のように戸惑いながら、情けなくもつたない動作で彼女の身体を無我夢中に(むさぼ)った。 もう一度、唇を重ねても許されるだろうか。 「…だめ、です」 「どうして?」 「……そんなの、許されない…から」
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