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「泰輔、これから呑みに行かない?明日休みでしょ?」
「無理。おまえ酒に酔うとめんどいんだよ、疲れる」
「え~、いいじゃない。いろいろ語りたいの」
「語られる俺の身にもなってくれよ」
「なにも語られないよりはマシでしょ?」
まったく自分のことを喋らない女と、いろいろ言ってくれる女。
どちらのほうが良いかと、これまた極端なことを言ってくる。
女という生き物は誰だとしても自分語りが好きだ。
常に自分が中心でないと嫌だと思っている部分があって、自分が知らない話題で盛り上がったときなんかはもう、分かりやすいほど機嫌を損ねる。
今まで付き合ってきた全員がそのタイプだった。
そして今隣にいる幼なじみだって同じだ。
「いいじゃない、行ってあげなさいよ泰輔!女の子からの誘いを断るなんて、いつか痛い目見るわよ」
「…なあお袋、俺一人暮らししようかな」
「なに言ってるの、あんたなんか無理よ。洗濯すらできないんじゃない?」
「俺これでも家電用品店の息子で営業してんだけど」
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