11月

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「泰輔、これから呑みに行かない?明日休みでしょ?」 「無理。おまえ酒に酔うとめんどいんだよ、疲れる」 「え~、いいじゃない。いろいろ語りたいの」 「語られる俺の身にもなってくれよ」 「なにも語られないよりはマシでしょ?」 まったく自分のことを喋らない女と、いろいろ言ってくれる女。 どちらのほうが良いかと、これまた極端なことを言ってくる。 女という生き物は誰だとしても自分語りが好きだ。 常に自分が中心でないと嫌だと思っている部分があって、自分が知らない話題で盛り上がったときなんかはもう、分かりやすいほど機嫌を損ねる。 今まで付き合ってきた全員がそのタイプだった。 そして今隣にいる幼なじみだって同じだ。 「いいじゃない、行ってあげなさいよ泰輔!女の子からの誘いを断るなんて、いつか痛い目見るわよ」 「…なあお袋、俺一人暮らししようかな」 「なに言ってるの、あんたなんか無理よ。洗濯すらできないんじゃない?」 「俺これでも家電用品店(あんたら)の息子で営業してんだけど」
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