11月

14/17
前へ
/290ページ
次へ
って言っておけばいいんだろう。 確かに場所も関係しているだろうが、車を走らせれば遠距離だとしてもコンタクトは取れる。 つまり、実際は物理的な距離感の問題なんかじゃないのだ。 自分が誘っておいて平気で遅刻してくるし、相手が合わせてくれることが当たり前だと思っている。 雑なんだ、すべてが。 だから俺は由香は……無理だ。 「…おい、歩けねえとかはやめろよ」 隣を歩いていた動きがピタリと止まって、少し先を進んでいたと気づいた俺は振り返る。 すると彼女は何をするのかと思いきや、空へ向かって大声で叫んだ。 「あーーーっ!!都会に行きたーーい!!」 「ちょっ、恥ずかしいからやめろって…!!」 「いいじゃないこんな田舎なんだからっ!!人なんか通らないわよっ」 「いい加減にしろ酔っ払い!!置いてくぞ!!」 叫んだことで逆に頭が冷えたのか、それからは大人しくなった。 こいつと結婚だけは無い。たとえ親にせがまれたとしても、それだったら一生独身のほうがマシだ。
/290ページ

最初のコメントを投稿しよう!

68人が本棚に入れています
本棚に追加