11月

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「あたしのこと独り占めしたいとか思わない?小さな頃からずっと一緒にいたんだよ?」 逆だ、離れて欲しい。 ずっと一緒にいたから何だというんだ。 幼なじみ? そんなものは中高生の妄想で止めるものだ。 俺を縛るな、お前も縛られるな、こんな気持ちが悪いものに。 「…もうお前とは2度と呑まねえ」 「ちょっ、なんでよ!ドキッとはしたでしょ!?」 「しない」 このまま関わると俺は本当に幼なじみすら大嫌いになってしまいそうで、それはまだ良心のためにも避けたかった。 もし俺が次に恋をするなら、ベラベラ喋る女より静かなほうがいい。 無理やりキスしてくるような女なんかより、少し近づいただけで恥じらうような、いやそれ以前に逃げてしまうような。 たぶんそれくらいが丁度いいんだ。 女は幾つか秘密を持っていたほうが魅力的な生き物だろう。 もし、そんな(ひと)が目の前に現れたとして。 由香に対して抱いた気持ちの真逆を突いてくるような存在が現れたとして。 このときの俺は考えもしていなかった。 今度は自分から歩み寄ってしまいたくなることなど───。
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