1月

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まさか俺がインターホンを鳴らす日が来るとは。 それほど、どうにも緊張しているみたいだ。 「明けましておめでとう松原さん。本当はもう少し早くに挨拶に来たかったんだけど……あ、これ、お世話になってる人みんなに配っててさ」 「上がってくか?孫もいるんだ」 「…いいの?水入らずじゃない?」 「いいさ。ほら、上がっていきな」 本当だ、見慣れないブーツがある。 祖父母の家特有な独特のお線香だけじゃない香りが微かに届いてくるし、なんというか俺まで落ち着かない。 そして俺が靴を脱いだところで、居間からそっと顔を出した女性と目が合わさった。 「あ、どうも。土岐です」 「…こんにちは」 俺よりは若い。 まだ二十歳前後に見えるあどけなさがあった。 ただ第一印象、血が通っているのかと思ってしまったほどに肌が白い。 たぶん、容姿端麗といえる部類に入るんだろう。 頑固爺さんの孫とは信じられないほどの落ち着きようと、俺の脳内にいちいち出てくる幼なじみとは正反対の雰囲気。 目を合わせるとスッと逸らされてしまうが、ペコリと頭を下げてくれる。
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