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愛想笑いをさせてしまったことが、俺のなかのわずかな後悔となって残った。
聞けば嫌味なくちゃんと答えてくれて、聞かなければ会話を出されることはなく、ただ沈黙が広がるだけ。
初対面なんてこんなものかと思い出してしまったのは、俺の私生活では珍しかったからだ。
関わる客の誰をとっても孫のように扱ってくれて、幼なじみを含めた知り合いばかりの地元。
それがこの町の良さではあるが、プライベートが確保されない部分は悪いところだろう。
今の俺の質問だっていろいろ聞きすぎたんじゃないかと、不安も募る。
「でも雪が降りますから、冬は危ないですよ」
なにか他の話題はないかと、やっと出た言葉は、どうしようもない。
あえて沈黙を無くそうとすることは、かえって彼女からすれば余計なお世話かもしれなかったというのに。
「……そのときは歩きます」
「え、大丈夫ですか?この近辺には何もありませんけど」
「…歩くのは好きなので」
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