4人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
そして、すぐさま思い出を振り払った。
『あー、今まで大変だった』
『ほんとお疲れさまー』
『愛重すぎんだよ。一昨日のケンカの内容きいてる?』
『うん、きいた。“出会って67日記念日”を、佳音ちゃんが忘れたってやつね。
というか、もともと知ってるよ』
『あ、そっか。あなたに言われて、敢えて忘れたフリしたんだもんね。別れる口実を作るために。
ていうか、“出会って67日記念日”ってマジで意味不明。全然記念じゃないし。そもそも、毎日記念日記念日って、うるさいんだよ。「忘れたフリ作戦」、もっと早くやればよかったー』
『確かにちょっと待ちすぎちゃったよね、ごめんね』
『いいよいいよ、あなたは全く悪くない。悪いのは全部彼。
こっちが電話しなくなった途端、毎日何度も何度も電話かかってくるし、うざいったらありゃしない。この一か月、どれだけ離れようとしても、彼は自分からぐいぐい寄ってくるし……。
あー! 思い出しただけでイライラする!』
『そのうざさからも、今日でもう解放だね』
『本当に感謝してるよ』
『いやいや、当然のことをしたまでだよ。
ぼくは、“佳音ちゃんが彼を「疎ましく」思う気持ち”から生まれたからね!』
『そういえば、あなたはこれからどうするの?』
『うーん、そうだなあ……。
佳音ちゃんのように、彼の愛の重さに困っている子が現れたら、今回みたいに助けてあげようかな!』
『おっ! それいいね~。よろしく頼むよ』
『任せといて!』
『今回、もし彼と別れられなかったとき用に考えてた「最終手段」。いつか使う日が来ちゃうかな?』
『んー、一応彼は、相手の幸せまで考えられるタイプみたいだし、来ないと信じたいなあ。
でも、もしそのときが来たら……』
『来たら?』
『警察の人はきっと頭を悩ませちゃうよね。
まさか犯人が、彼の首に巻き付いたネクタイ自身だとは思わないだろうし☆』
最初のコメントを投稿しよう!