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怪盗イーグルは見逃さない
『拝啓、警察の皆様方。
●月●日、占部正春様宅にある“ギアスの涙”を頂戴しに参ります。
万全の準備をしてお出迎え頂けますよう……。
怪盗イーグル』
とある占部銀行の頭取、占部正春の家にそのような予告状が入った。怪盗イーグルというのは、最近日本を騒がせている怪盗の名前である。ルパンでも気取っているのかいないのか、わざわざ予告状を送った後財宝を盗んでいなくなるのだ。
警察の前に、愉快犯のごとく姿を現すこともある。
真っ赤な仮面に真っ赤なタキシード、真っ赤なマントというなんとも赤づくしの派手な格好。またの名を“赤のイーグル”。警察は彼(多分男だとされているため)を捕まえようと躍起になっているものの、今のところ全戦全敗といった有様だった。
そして不名誉なことに、やや評判のよくない富豪の家にばかり押し入ることから、義賊だという噂まで立てられている始末。
そして、世間では怪盗イーグルファンクラブなるものまでできてしまっている。顔も本当の性別や年齢も何もわからない相手だというのに。
「由々しき事態だ」
怪盗イーグルを既に三年追いかけている橋本寛治警部は、ぐぬぬぬ、と呻き声を上げたのだった。
「どんな理由があれ窃盗は窃盗!犯罪は犯罪だ。このまま取り逃がし続けているともなれば、警察の威信に関わる……!」
「もう既に失墜してる気もするんスけどね」
「黙れ」
いらぬツッコミをする部下、梶原裕巡査部長の頭をひっぱたき、橋本は言ったのだった。
「今度こそ、怪盗イーグルをとっつかまえてみせるぞ!梶原、お前も全力出せよ全力!!」
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