ダンディズム 〜こぶたのチャーコ〜

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「さぁて……なにヤッてはしゃごうかプギ♪」  さっきお仕置き予告に震え上がったくせにすぐに忘れるチャーコ。そんな彼女の脳みそは耳かき一杯分くらいしかない。 「……の前に。もっかいヌコリンの小屋みてこよーっと」  やっぱり一緒にハシャギ倒す相棒がいないとね♪  チャーコはお庭にセッティングされているヌコリンのお家(拾ってきた犬小屋。ボロ)を覗きに行ってみた。果たしてそこには。 「……やっぱりいない。気配もないプギ。どうしちゃったん? もしかして本家に行ってゆ?」  愉怪町のケイんちの庭先にあるこの小屋は、いわば彼のエージェントとしての仮住まい。  他にも家があることだけはチャーコも聞き及んでいる。 「弟クンの具合が悪いのかなぁ……」  本家にはヌコリンの弟が居るらしい。その仔はちょっと身体が弱く、いつ何があるかわからないので、ヌコリンはある程度自由のきくフリーの仕事しか選べないのだとか。  けれど弟クンの話をする彼は、いつも素敵な笑顔だった。  だから脳みそ耳かき量のチャーコでも、弟がヌコリンにとって宝物であることは理屈抜きでわかる、知っている。 「うーん、でも弟クンの状態は今落ち着いてるって聞いたばっかだプギ……」  だとしたら、なぜ連絡してこないのか。  確かにラインに既読がつかなくなる事はあったが、すぐに別の手段で連絡はしてきた。  メールでも電話でも、いくらでも方法はある。そもそもヌコリンがチャーコや愉怪町の仲間とのやりとりを絶って24時間以上もつはずがない。 『オレは、本当に愉怪町のみんなに生かされてるニャ』とたまに零すくらい、仲間たちとの時間は生活の一部なのに。 「おっかしいなぁ……」  ヌコリンの気配のない小屋は、明るい日差しとは裏腹に暗い影を落としている。 「…………」  ザワ、とチャーコの中に得体のしれない悪寒が走った、その時。 【ピロン♪ ほわわわわ~ん……♪】  彼女のスマホがラインの着信を知らせた。 「ヌコリ……!? あ、ちがうケイだ。出張行ったんじゃ……」 【ケイ🐺:チャーコ、やっぱりおかしい。ヌコリンがこんなに何日も連絡つかないなんて。嫌な予感がする】 「……っ!」
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