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【チャ:あ、でも。大騒ぎしてなんともなかったら、かえってヌコリンに迷惑かけちゃうかな……】
【ホマレ:かけたとしても、大袈裟だったな、って笑い話になる方がいいんじゃないか?】
「プギ……っ!」
ホマレーヌ画伯のメッセージがチャーコを撃ち抜いた。
【ホマレ:ワシはあやつとそんなに密に連絡を取ってたわけじゃないが、いつも一緒のケイやチャーコがおかしいと感じるならそれを信じるべきだ】
画伯のおフザケ無しの言葉は三ヶ月にいっぺんくらいしか聞けない。それだけに、出た時はやけに真摯に響く。
倒れたままピクリとも動かない小さな黒猫。そんな想像がもし本当だったら……。
【チャ:あたち、やっぱりいてくゆ!】
【ケイ:待てって! 何か他に確認する方法があるはずだ。近くの警察とか……】
【ホマレ:では地域の民生委員とかはどうだ】
それだーーーー!
【チャ:わかた! あたち、ヌコリン本家のおやくそ(お役所)に電話してお願いしてみゆ。ヌコリンち、覗いてみてー!って】
【ホマレ:おお、それがいい。頼む】
【ケイ:できんのか、チャーコ……】
「できーーーーゆ!」
ケイへの返事をラインではなく口で叫んで、チャーコはスマホにタッチペンを走らせる。
「えと、ヌコリンの本家の住所はラインのノートに……あった。すもーがはら市10丁目10-10。トントントン!」
コピー&ペースト、からの……検索Go!
「ヒットしたプギ! 相撲が原市役所……の電話番号!」
プニュプニュッ、シュピーン!
タッチペンが唸る。イマドキの飼いこぶたは、スマホで調べものくらいできなきゃね。
「もちもち、あたちチャーコ! お願いがありますプギぃぃい!」
そうして彼女はヌコリンが消えたこと、その地域に本家があるので様子を見に行ってもらえないか……という内容をプギプギと必死こいて訴えた。
「あたちが行きたいけど、そっちは遠くて時間がかかるプギ。弟クンもちんぱいだし、どうか……!」
『つまりこちらから地域の民生委員に連絡を取り、そのお宅に向かわせればいいんですね?』
すもーがはらの職員さん、飲み込み早ーーーい!
『結果を電話でお知らせしますので。ご心配でしょうがしばらくお待ちくださいね』
そんでイイ人ーーー!
【チャ:ケイ、画伯! 行ってくれるって。様子見て電話くれるコトになったプギーー!】
かくして、チャーコたちは一旦待つだけの身となったのだった。
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