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『チャーコちゃん! お兄さん、救急車で運ばれたみたいなの。でも病院はわからないって……!』
「……うん、聞こえた。ありまとプギ、おば民さん」
『おばみんさん?』
「あたちケイに知らせて病院探すプギ。ほんとにほんとにありがとう」
それしか言えず、チャーコは通話を切った。そしてすぐにラインにメッセージを入れる。
【チャ:やっぱり救急車で運ばれたみたいヌコリン。弟クンもどこの病院か知らないプギ】
【ホマレ:まじか!】
ケイの既読は付かない。きっと仕事中でスマホの確認はできないのだろう。
【ホマレ:だが生きててよかった】
【チャ:あたりまえプギ。すもーがはら市の救急指定の病院、片っ端から電話してヌコリンいないか聞いてみる】
【ホマレ:コロナで受け入れ先が混雑してて、遠くの病院に飛ばされてる場合もあるぞ。それに……教えてくれるかな】
ーー数分後、ホマレ―ヌ画伯の心配が的中してしまった。
「えっ!? なんでおちえてくれないの!」
『ですから、そういったことは個人情報に当たります。当院に運ばれたかそうでないか、お教えできない決まりなんですよ』
救急病院の受付のお兄さんは、声は優しいのに頑なだった。(当たり前だが)
「だってだって! ヌコリン急に運ばれて何も持ってないんだお? 必要な物だってあるでそ?」
『お気持ちはわかります。ですがご本猫と連絡を取り合ってもらうしか』
「その本猫と連絡取れないから頼んでるのにーー!』
『お答えできません。おそらく他の救急病院に電話しても同じですよ』
「もういいプギーー!」
ぷっちん!
割と呑気で決して短気ではないチャーコだが、思わず通話終了ボタンにひづめを叩きつけてしまった。
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