ゴーストバスター・ワイルド・ビル③

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 その時歴史が動いた訳でも尋常ならざる事件や事故やが発生した訳でもなく、よく見聞きするようなお涙頂戴の代償や悲運や何やを課された訳でも何でもない。  自分で言うのも何だが、蓋を開けば実に見事に取るに足らんちっぽけな存在でしかなかった。  そんな馬鹿なって、うん解る俺も思ったよ。  いや実際にはそう思う切っ掛けも必要も何もないほど、またそれなりに健やかな人生を与えられただけだった。  これは先述した恩師の良い人っぷりもあるし、それに報いるべく健やかな人生を全うするという選択肢もあるにはあった。  その選択肢を放棄した訳もあるにはあるが、まあそれはまた今度。  今度があんのかは解らんが。  とにかく微々たる歴史を微々たるものだが動かす事を選択した。  当然そうする事によって付随する何もかもを背負う事をも。  これはぶっちゃけ選択しようとしまいと背負う羽目になる不可抗力だが、何にせよ必要事項だ。  それが社会を回す歯車たる社会人の責務という奴だ。  大統領から清掃員まで、この世に生きとし生ける誰もが背負っているとされる責務。  とかくふんわりした概念や思想やら、視覚出来ないものばかりが重要視されがちなのもどうかと思う。  ふんわりしてる割に荷が重いにもほどがあり過ぎるし。  しかし前言撤回する間も愚痴を垂れる間もあるはずもなく。  流れ着いたのは国道沿いの飯屋。  どこのどんな場所でもどうとでも生きられるよう育ったので、無論どんなものでも食える。  因みに恩師は英国人だがそれは別に関係ない。  .   
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