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「──で?」
些細ではあるがごく重要な問題が生じた。
無論これをバカにしてはいけない。
大抵の生き物がそうしているように、我々もまた眼前の仕事に対して真剣に取り組もうとしているだけなのだ。
──15歳。
彼は果たして大人なのか、子供なのか?
何事も正解と間違いとを定める必要はない。
要するに好きにすれば良いのだが、簡単に匙を投げる事もしたくなかった。
まさしく大人のようでも子供のようでもある彼の呆れた顔が見える。
「僕からしたらどっちでも良いんだけど」
否、それを見れば紛う事なき大人である。
物心つくかつかないか解らない頃から周囲の大人達の喧騒に振り回され続け、彼はいつしかある意味達観した目を得ていた。
だがそれ故に、子供であるとも言える。
大人達の事情によって大人達の良いように振る舞う事を余儀なくされていただけではないかと。
確かにそういった事例は数多く目の当たりにしてきた。
「……とりあえず【少年兵】って呼ばれてたし子供で良いんじゃないかな」
当人の結論を答えとしても良さそうなものの、“とりあえず”などと粗雑に済ませるのはやはり避けたい。
何にせよこうして再び彼の物語を掘り起こす事と相成った。
どうしようもなく見るに堪えない、光り輝く人生とはけして言えなかったものだったとしても、そうするに足ると言いたかった。
どうしようもなく。
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