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一応確認しておきたいと断りを入れ、今やボロボロの海藻か何かの様な血みどろの包帯を剥がし、オッサン改めアロンソアの眼孔を拝んだ。
もし再生してたら目論見が外れるだろうと尤もらしい事を言って納得させ、心置きなくグチャミソのそれを観察する。
いざ観察すると本当に手に負えるかと怯まなくも無かったが、奥の異物さえ取り除けば良い話ならさほど難しく考える必要も無いだろうと開き直る事にした。
あの問答無用の破壊と再生を見た限り、要は死ぬ前に何とかすれば良い訳だ。
こんにちは脳筋だよ。
「……おい触るな」
「触ってねえよ。今更だけどちゃんと感覚あんの?」
どう考えてもとっくの昔に麻痺していそうだが、どっこいそうでも無いらしい。
控えめに言って地獄か。
「……気にする必要ない」
「今必要ある事が決定しました。痛かったら以後ちゃんと言うか右手を上げるように」
「……上がらねえ」
「マジ?」
思ったよりゴリゴリに体力が削られているらしく、 事実を知った途端に喋るのすらやっとに見えて来る。
互いに考えたり立ち止まったりする余裕を捨てるべく、何気無く押し倒し、馬乗りになった。
スピード感なら負ける訳がない。
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