サイクロプスとロブスター(結)

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見目を気にするなんざ矛先が自他どっちでも関わらず極めて無益な所業である、とは大昔に悟った事だ。 単純に自分の見目が特殊な部類だったから他人に対しても気を遣えるようになったという我が成長録の一端だが、まさか今になってその是非を見直す羽目になるとは。 と言っても無益である事は変わらないし変わらないべきだし、その辺に関してはこれ以上言及したくない。 ただ悔しい事に今の今、正に見目が正面から殴ってくる。 これもう暴力だ暴力。 今まで散々苦痛や不快感を伴う分かりやすい暴力に晒されまくってきたが、断然その比じゃない。 無論全てはそう簡単に比較出来るもんじゃないんだよな。 よく聞く所じゃ肌や髪や性別や生まれ持った全ての違い、飲食の好み、押しつけられ培わされた価値観。 どれもこれも概ね取るに足らん下らねえ物差しだが、これも悔しい事にある意味では食い扶持が食い扶持たりえている物達でもあるから、この話は止そう。 とにかくその瞬間、上記全てが本当に取るに足らん下らねえ過去の遺物と化した。 ──前回のあらすじ。 眼鏡によって世界平和が訪れた。 いや実際そんなお手軽なもんじゃねえのは分かりきっているが、 その兆しが見えたのは確かだ。 良いだろ思いたい事を思うくらい。 そこでようやくレンズを通した事で驚くほど明瞭に見て取れる、困惑と若干の軽蔑が混じりの顔に気付いた。 マジで似合ってんな良いなあ……じゃなくて、この人普通に視界が悪くて四六時中あんな不機嫌だったのか。 一生掛けといてくれ世界平和のために。 .
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