腎臓と星

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そう言うと運転手は目を丸くしたり白黒させたり、天を仰ぎ何事か泣き声混じりに呟いたり、やはり喧しい。 それでも運転を誤るなどと言ったつまらんミスは一切犯さなかったのは評価出来るか。 相対した瞬間から今に至るまでのその喧しさからして特に手練でもないようだが、同時に決して生半可に生きてきた訳でもないらしい。 なるほど見ていて退屈はしないし、恐らくそれが五体満足である一因だろう。 いつ五体満足でなくなってもおかしくは無いとも言えるが。 「一発屋芸人かな」 「大差無い」 「まあ否定はしないかなあ……。でね、だからこちとらタクシーじゃないしヒッチハイカー拾う趣味はないしご満足頂けるサービスは提供出来ないししたくないのよ」 「タクシーを拾った訳でもないヒッチハイカーでもない」 「ええもう……。じゃあアレかしら、【ローマの休日】?随分物騒だけど」 「王族でもないし現実逃避中でもない」 「じゃあ何〜?」 いよいよ泣き出しそうだが決してそうしないだろうと分かる通り、確かに只者ではない。 大それた理由はなく、ただ面白いから暇潰しに弄り倒す事にした──という事にしようと決めた。 暇潰し出来る何かを求めていたのは確かだが、実際何をすべきか、はたまた何がしたいか分からなかったのだ。 そこで何も考えず、全てを成り行きに任せる事にした。 今決めた。 .
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