腎臓と星

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胸中を隠す事には無論長けている。 今までずっとそうして来たし、上手く行かなかった試しはない。 上手く行かなかった時は必ず相手を死体に変えて来たので、今更何の問題も生じる訳がない。 平静を保つべく会話を続ける。 「……ありふれた名前だ」 「現地の人から見たらそうだろうけども。ウチで言う山田太郎的な?」 「それは知らん」 「それもそうか。んでも、良い名前だと思うのは確かよ?」 「……たまになら必要以上に呼んでも良い」 「本当?やったあ。照れちゃいました?可愛い可愛い」 「照れてないしそれ以上可愛いと言っても殺す」 「はあい」 上手く行かなかったのは潔く認める。 よしいずれ殺そう。 「ところでエンゾ君さあ、おっさんが漏らす所ってあんまり見たくなくない?」 「……なくない……」 「あ、ごめん。要はお花摘みに行きたいっす。と言うか君は行きたくなんないの」 「必要なら数日は耐えられる」 「やだ膀胱炎になるって。とにかくそこのコンビニ寄るね?」 確かにこれまでに見てきた死体やそれに纏わる諸々を思い返すと、しばしばアンモニア臭に辟易させられてきた事を思い出した。 当然耐えられない事は無いが、負担を軽くするに越した事はない。 「あとついでに食い物飲み物とか要らない?この際だし奢りますよ」 どの際かは解らないが、流れるままコンビニの駐車場に停車し、促されるまま食い物飲み物を求めに車を出た。 結果【ピザまん】なるものに一番胸が高鳴り、頼みもしないのにあるだけ買い与えられた。 「……こんなに要らない」 「運動部終わりの中学生の勢いで食ってるじゃん。あ、飲み物飲みなよ詰まるから。つかピザまんとコーヒーって合うのかな」 「食後なら良いべ。どうせ腹に入りゃ一緒だし」 「んん、それ良く言うけどさあ……えっ」 ──えっ。 後部座席から見知らぬ、思いもよらぬ声が飛んで来て、決してそうは認めたくないが息が合いつつある運転手とほぼ同時に振り返った。 ロマン溢れた表現は本来好かないが、そこには素行不良が過ぎるが紛れも無く神の証と称される流れ星が座っていた。 .
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