腎臓と星《2》

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 結局は日和って普通に車道に舞い戻りながら、今日明日がいよいよ命日かも知れないと心の中かつ底で頭を抱えた。  ──でもまあ、いっか。  ひとしきりシャウトしたら覚悟決まったと言うか、気が済んだと言うか。  元より割といつくたばっても何らおかしくない人生だったし、いや決していつくたばっても良いとか断じて思ってないよ?  思ってないけど、限りなく近い場所に身を置いちゃってる自覚は普通にある。  それはそれは随分と昔から。  下手すりゃ後ろの子より若い時から。  あれ、そう考えると俺って案外ちゃんと人生をやって来たんだなぁやったあ。  「へえ」  「ほう」  「急に仲良しね」  人生は楽しむモンだってどっかで聞いたか見たか読んだかしたし、それじゃもういっそ楽しんでやろうじゃないの。    「893とよろしくやってて楽しいモンなんか実際」  「そういうのは聞かないのがお約束ですよ坊っちゃん」  「坊っちゃん言うなオッサン」  「じゃあオッサン言うなクソガキ。……いやいや喧嘩腰はやめよ?楽しくやろうって決めたんだもの」  「おれは同意してねえぞ」  「僕もだが」  まず案外メッチャ手懐けやすい隣に畳みかける事に。    「助手席に座った人間は運転手に絶対服従がルールなのよエンゾ君。教習で真っ先に習うよ」  「そうなのか」  「んな訳ねえべや」  「んな訳あるのよ。教習所言った事ねえでしょ坊っちゃん」  「………………ねえけど」    勝確!!!!!──とはならない人生だったけど、何だかんだ楽しい旅路にはなったとは思う。  全て結果として、だけれど、まあ何だかんだ今に始まった事じゃないし、多少はね?  .  
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