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07 翌日、まさかの白紙撤回? いや課長の本心は違うはず…!
翌日、青生はそわそわしながら早めに会社に向かった。
派遣先の自社ビルに入ると、ちょうどエレベータの前に紫藤がいた。
この時間帯が紫藤が出社する時間だったらしい。
「おはようございます」
「あ、ああ、おはよう」
エレベータが下りてくるのを二人で待つ。
紫藤はいつも通りオールバックに髪を整え、しわ一つないネクタイを襟元できっちり締めている。
こうしていると昨日のことが嘘のようだが、隣で紫藤が密かに緊張しているのが伝わってきた。
エレベータが開いて二人で中に入る。口を開いたのは同時だった。
「婚活のことですけど、週末デートしませんか?」
「すまない、昨日の話はなかったことにしてくれ」
真逆の発言に、青生はあっけにとられ、紫藤は目を瞠る。
少し、沈黙が落ちた。
「……いや、本当にすまない。君は何も悪くない。もう一度体の関係を要求するなんて、セクハラもいいところだ。どうかしていた」
申し訳なさでいっぱいの顔で、再度言われる。
「え、あの……」
「おはようございますー」
ビルに入ってきた社員に挨拶され、紫藤はとっさに閉まりかけていたエレベータの扉を開いた。
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