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これは賭けだ。
仲のいい社員や派遣社員は何人かいる。
その人に対処してもらえれば、このヒートはなかったことにしてもらえる……!
そんな必死な願いも空しく、さらにじりじりと三十分が過ぎ、青生はもう限界に達していた。
体が熱くてたまらない。渇望が止まらない。
誰でもいいから、この熱を鎮めてほしい。お願いだから。
その時、がちゃっと、部屋のドアが開いた。
その人物を見上げる。
背が高い。
襟元まできっちりと締めたネクタイに、オールバックに整えられた髪。
紫藤課長、だった。
――あ、終わった。
管理職である課長に見つかったなら、この件は派遣会社に連絡される。
問題を起こしたオメガに、次の仕事などこない。
なんとかなるかもしれないとぎりぎりで耐えていたものが、ぶつっと切れた。
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