02 会社でヒートを起こしてしまい…!?

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 アルファの雄々しいにおいが鼻腔をくすぐり、理性を溶かしていく。  体中の産毛が総毛立った。 「ヒート……!? 兎川、大丈夫か?」  オメガフェロモンのにおいを吸い込み、即気づいたのだろう。  切羽詰まった声をかけてくる紫藤に、青生は反射的に襲いかかっていた。 「え?」  体当たりを食らわされ、足がもつれた紫藤を床に押し倒す。  小柄な青生はすかさずその腹の上にまたがり、マウントを取った。  つかまえたアルファを見下ろす。  相手が上司だという躊躇(ちゅうちょ)は、もはや頭にない。  あまりのことに、紫藤は目を丸くしていた。 「ま、待て、落ち着け。き、君、特効薬は? 持っているだろう。どこにある? 取ってくるから」  それが正しい対処なのだが、一時間ヒートしていた青生の頭には、そんな選択肢はもう存在しない。 「そんなの、いらない……」  ほしいのは、そのアルファの体だけだ。  青生は紫藤の右手をつかむと、紫藤のそのきっちりと締められたネクタイを巻きつけた。 「なっ……!?」  ネクタイの大剣と小剣で団子結びにして、紫藤の右手を襟元で縛る。
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