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「そん……っ!?」
紫藤の顔が紅潮し、ぶわっとアルファのフェロモンがまき散らされた。ラットだ。
これで紫藤も逃げるだけではすまなくなる。
どこかで発散しない限り、そのラットは収まらない。
そして発散できるところなど、社内にはここしかないはずだ。
「ど、どうするんだ、こんな……っ」
いつも襟元までネクタイを締め、髪をオールバックにきっちり整えている紫藤が、今、そのネクタイで両手を縛られ、発情に息を乱し、前髪はすっかり落ちてきている。
こんな顔、するんだ。
普段とのギャップを感じ、青生の興奮は昂っていく。
相手が逃げる心配がなくなったところで、青生は自分のズボンと下着をすばやく脱ぎ捨てた。
ヒートが始まってから、もう一時間も経っているのだ。
下着がぐしょぐしょになるぐらい、そこは濡れていた。
青生は再び紫藤にまたがり、その立派なものの上に腰を落とそうとした、のだが。
「ちょっ、ちょっと待て!! ほんとに私とするつもりなのか!?」
青生の主観ではもうするしかない状況なのに、紫藤は必死に制止してくる。
「駄目……?」
「駄目に決まってる!」
なんで?
「恋人、いないのに?」
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