10分だけ、時間をちょうだい

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華やかな顔が近くにあり、沙月は緊張を覚えながらキーボードを打っていく。カタカタという音が響いていく。 「何かあった?何だか顔が暗い」 声をかけられ、沙月はキーボードを打つ手を止めて、横を見る。貴之は心配そうな顔をしていた。 貴之が差し入れてくれたコーヒーを一口飲み、沙月は少し迷ったものの、話してみることにした。彼の心の底から心配している目を見ていると、「大丈夫」とはどうしても言えなかった。 「実はーーー」 沙月は、婚活のことを包み隠さず話す。貴之はただ黙って話を聞いてくれていた。そして、沙月は話し終わった後、自傷気味に笑って言う。 「もう疲れました。結婚、諦めた方がいいのかなと思ってます……」 コーヒーを握り締めながらそう沙月が言うと、貴之は真剣な顔をした。そして、椅子から立ち上がる。 「10分だけ、待っててくれる?」 「えっ?」 「10分で用意する。だから、ちょっとだけ待ってて」 「わ、わかりました……」 貴之はどこかへ走っていき、残された沙月は戸惑いながらも残っている仕事を済ませ、高貫を待つ。10分後、戻ってきた高貫はパワーポイントを起動させた。 「柳田さん?どうしてパワーポイントを?」
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