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篠原沙月、28歳、独身。高校時代や大学時代にできた友人たちから次々と結婚の連絡が届き、さらに親からも「いい人はいないのか?」という連絡が時々届き、焦っている今日この頃である。
「何が脱恋愛至上主義だよ!!」
仕事から帰ったマンションの一室、冷蔵庫にあったビールを一気に煽った後、沙月は大声で言った。結婚の話をされるとイライラしてしまい、焦ってしまう。
昼休み、昼食を食べ終わった沙月がSNSを暇つぶしに見ていると、中学時代の友達のアカウントを発見した。その友達は恋愛には興味のないタイプで、沙月たちが好きな人の話をしている間、ずっと読書をしていたような人だった。
『私、恋愛には興味ないから一生独身かな。でも今は独身って珍しくないし、脱恋愛至上主義で生きていこうかな〜』
好きな人がいないのか、初恋はいつなのか、その手の質問をされた時、必ずその友達はそう答えていた。しかしーーー。
「……は?」
SNSの投稿を見た沙月は、思わず低い声が口から出てしまった。その友達がアップしていたのは、自身のウェディングドレス姿の写真だった。
『大学時代から付き合っていた彼と、この度結婚することになりました!今日はドレスを選びました♪』
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