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俺
俺が彼と再会したのは、公園でのことだった。最初は彼だと分からなかった。容姿が以前とかなり変わっていたからだ。以前はもっと明るかったし、活動的だったのだけれど、なんだか年齢以上に歳を取ってしまったかのように落ち着いていた。それでも彼が彼だと分かったのは、彼の面影があったからだ。もちろん声をかけるときは、別人かもしれないと躊躇したけれど、話しかけてみると、やはり彼だったのだ。
久々の再会を喜び、俺たちは食事をして、連絡先を交換した。最初は楽しかった。昔のことや今のこと、いろんな話をした。けれど、次第に、彼に対する不信感が強くなっていった。
彼は裕福なのだという。けれど、何かおかしいのだ。最初は彼のことを心配する気持ちの方が強かったけれど、次第に、もしかして、何か俺のことを騙そうとしているのではないかと思い始めた。それほど悪気のなさそうな顔をしていたからだ。裕福ではないのに、裕福だと偽ることで、何か詐欺でもしているのではないか。実際、彼が裕福になったというその話も、どこかしっくりとこない。肝心なところは誤魔化されているような気がする。彼の言動から、俺はどうしてもそんなふうに感じてしまい、つい言ってしまったのだ。50万円を貸してほしいと。
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