2話 悪魔の存在

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2話 悪魔の存在

奴の口は動かなそうだった。 「そっすか。答えねぇならよ、呼ぶからな」 と、スマホの画面を奴に突き出した。110番の画面だった。 「っ…」 流石にそれに動揺したのか奴は悔しそうな声を出した。 「早く答えろよ〜俺の指が滑っちゃうぜ?」 (って…改めてこいつ見ると…) マジマジと奴を見ると桃季と同じくらいの年齢の少年に見えた。 (げ、もしかして俺の知ってる人?) 桃季の知ってる人なら桃季の友達か__ (いやいや、何のために?) 桃季のライバルか___ (サッカー部のやつか?俺がうまいから嫉妬して嫌がらせしてる、とか?) それとも、桃季の後輩か__ (お!俺に憧れてる後輩?ファンとか??それ説!) 「もしかして、俺のファンだったり?」 桃季は嬉しげに自分を指して問いかけてみた。 「なわけねぇだろ」 「しゃべった…」 いかにも冷静な返答が来た。 「じゃあなんだよ、俺を誘拐しに来たのかよ?」 「んなのとっくにやってるだろ」 「だよな……って会話してんじゃなくて、お前の目的は何だよ!」 「言えるわけねぇだろ」 「だろだろ、うっせーな!お前もしかしてやらされてんのか??」 「…かも、しれないな」 奴はその場に座った。 桃季もスマホをしまいその場に向き合って座った。 「目的言えないのか?」 「言えねぇよ。普通言うか?」 奴はフードを外しマスクを取った。 サラサラとした金髪マッシュに鼻がシュッと通っているいわゆるイケメンだった。 「おまえ、頭目立つな…」 「で、俺はもう行っていいの?」 「いいわけないだろ、サツ呼ぶぞ…ってかお前の名前なんだよ?」 「ハッ。普通聞くかよ、ストーカーの名前」 「聞いとくぜ、一応。」 「…………一条冬馬。冬に馬って書いてとうま」 「は?お前も馬鹿なの?何細かく教えてんだよ」 「お前が教えろって言ったからだろ」 「フルネームだし。お前ストーカーする気あんのかよ。で、俺の名前も知ってんの?」 「狙ってるやつの情報は取り入れたもんがちだろ。とおり、亀上桃季」 「怖っ。まじでその情報どこで手に入れてんだよ」 逃げる気のない奴…冬馬は会話に打ち解けているようだった。 「お前、悪魔っていると思う?」 冬馬がいきなりそんな事を言いだした。 「は?」 「悪魔だよ。存在すると思うか?」 「いきなり何?悪魔?いないだろ。俺神様とか心霊とか信じない派だから」 「ふーん、そ。じゃあさ、俺が悪魔を殺す人間だって言ったら、桃季信じる?」
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