16 決戦の日

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 結婚式会場は素晴らしかった。ホテルの庭園の中にある真っ白なチャペルで行われ、明るい日差しと木の温もりを感じる厳かで素敵な空間で。  その後はホテル内へ移動しての披露宴。始まるまでの待機時間はなるべく亮太の近くにいかないようにしていたんだけど、なぜか彼のほうから近寄ってきた。 「久しぶり、咲桜」 「……どうも」  同期の男子たちが私たちを遠巻きに見ている。きっと、振られた私を哀れな奴と思っていることだろう。でも残念ながら、私は可哀想ではない。それを見せてやらなくちゃ。  彼らに向かってにっこりと微笑んで見せると、亮太が少し口ごもりながら話し掛けてきた。 「なんか、綺麗になったな、咲桜」 「そう? 普通よ」  自分でも声が冷たくなっているのを感じる。 「眼鏡掛けてないし……雰囲気が柔らかくなった、というか……」 「ストレスが無くなったからかもね」  嫌味を投げつけてみると亮太はグッ、と言葉に詰まった。 「もうあなたと話すことはないから。じゃあ」  そのまま私は化粧室に向かって披露宴開始までそこで過ごした。これ以上一緒の空間で晒し者になりたくなかったから。 (あと二時間半の披露宴だけ。その間だけ自分をしっかり保って乗り切ろう。幸い、席次表を見ると私と亮太の席は離れてた。大丈夫、頑張れる)  
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