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プロローグ
私の名前はサツキ。
都内某所にある老舗銭湯『満縁湯(まんえんゆ)』。
私は普段は会社員をしているが、銭湯・サウナ好きが高じて週3日、ここでアルバイトをしている。
フロント業務を中心にロビーや女湯の清掃、貸し出し用タオルのセッティング、使用済みタオルの回収…とにかくやる事、覚える事が多くて会社終わりの身体にはキツい時もあるが、大好きな銭湯・サウナがある場所で働ける事、何よりここに来る常連さんやご新規さん、様々なお客さんの来た時と帰る時の表情を見れるのは私にとって最高の瞬間だ。
『満縁湯』は1階にフロントと待合室があり、その先に男湯と女湯がある。
2階には食事処があり常連さんたちの憩いの場となっていて、私も出勤前や後にはここで夕食を食べているが、ハンバーグ定食が最高だ。
天井が高い浴室内にはいくつかの健康風呂があり、サウナは低温サウナと高温サウナがある。水風呂は外の露天風呂にあって外気浴も出来るから、サウナ通の人にとっても温泉好きにも人気で、よくメディアにも取り上げられている。
「おっ!サツキちゃん!どう慣れた?」
声をかけてきたのは、週2日の頻度でここを訪れるカツさんだ。
「はい、おかげ様で」
「いいねぇ、いいねぇ〜!その笑顔」
「ちょっとカツさん、鼻の下伸ばしてないで。お仲間の2人が待ちくたびれてますよ」
カツさんの会話に入ってきたのは、この満縁湯の名物女将・早苗さん。
「は、鼻の下なんか伸ばしてないよ!俺の本命は早苗さんだもん!」
「ちょっとカツさ〜ん!早苗さんに告ってないで早く入りましょうよ〜!待ちくたびれちゃいました〜」
わざと怠そうな声を出してカツさんを呼ぶのは彼の銭湯・サウナ仲間であるモコさん。そしてモコさんの隣で大人しく座っているのは同じく銭湯・サウナ仲間のタカさんだ。
この3人はいつもこの待合場か、中のサウナ室内で待ち合わせ、2階の食事処でそれぞれが行ったサウナや銭湯の話、今度出来る新規のサウナ施設についてビールやオロポ、おつまみをお供に熱く語り合っている。
出勤前に私が食事処で夕飯を食べていると、カツさんは遠慮なく声をかけてきて御三方の銭湯・サウナトークに混ぜてもらったりしたこともある。しかし語りすぎてしまって何度かギリギリ遅刻しそうになったのだが…。
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