運命への追撃

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 占い師いわく―― 「あんたには英雄になれる相がまるでない」  ジルフリード―― 「戦場(いくさば)で無様にくたばるか……そんな運命は俺が変えて……」 「変える以前に、運命の方があんたから逃げるだろうさ」 「…………は?」 「切り拓く以前に、[英雄となる運命]があんたから逃げていく……  それが……あんたの[宿命]だ……」 「ならば……」  こうして[残念な宿命]を背負う三男坊は―― 「ならば、俺は家を出て自分の道を……逃げる[運命]を自分で捕まえてやる!」  と、家に代々伝わる鉄甲騎を持ち出し、執事兼機関士のウィルと教育係兼侍女のラーラを連れて、[運命に対する追撃]の為に旅立ったのだ……  或いは[宿命への反抗]か……  時に西方歴八〇七年――  目指した地は〈中元国家群〉――  これまで育った西方とは何もかもがまるで違う異郷――  大陸の中央を占めるこの地はまさに戦乱の真っただ中にあった。  歴史も規模もご立派な独立工房都市を三つも内包しながらも、覇を唱えた国は未だ無く、混迷の戦乱に見舞われた(西方から見れば)未開のこの地は、 「俺がこの身ひとつから身を立てるには丁度良い」  と、若者を奮い立たせる魅力があった……  少なくとも、旅立つ直前まではそう思っていた……
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